もう一つの登山口に着いたら早く下山した人がアイゼンを外してリラックスしていた。
挨拶をしてえっちらおっちら登っていく。
前日が土曜日だったせいもあり、何人かの方が順々に降りてくる。
歩き始めてしばらくしたら、聞きなれない動物の鳴き声がした。カサカサカサッと音がする方向を見ると道路に向かって何かか降りて行った。
なんだろうとよく目を凝らしてみたら、サルだった。遠くて個体の大きさが分からないがきっと子ザルだろう。ここで見たのは初めてだ。カメラを取り出して写真を撮ろうとしたけど、サルの方が素早く動いて収めることが出来なかった。

雪の量はあまりなく歩きやすいが、ところどころぬかるんでぃた。

まだまだ余裕のSさん

Sさんとは反対にぼくはどうやら、今一つ体が動かない。
寝不足のせいだろうか、歩く速度が急に落ちた。
おまけに腹も減ったので、少し立ち止まりチョコレート食べる。
時計を見たら11:00だった。
この先はくねくね道がずっと続く。
ひょっとしたら、もう少しで奥多摩駅9:35発のバスに乗った人に追いつかれるのではと思ったら、思った通り登山者の姿が見えた。年配の4人組だ。
話を聞いたら奥多摩小屋で一泊するとのこと。
あの小屋は寒いですよね~と話をしていると、ぼくらのザックを見てだろう、どれくらいの重さかを聞かれた。
27キロというとびっくりしていた。彼らには先に進んでもらい、またカメが歩くより遅い足取りでよたよたしながら登っていた。
上からは何人かり登山客が続けた降りてきたので、先に進んでもらった。
しばらくすると、今度は大勢の登山客がまとめて降りてきた。30人ほどはいただろうか。
どうも朝にしっかり食べなかったからだうう、お腹がぐうぐう鳴っている。
お昼は鴨沢バス停から標準時間で2時間ほどの堂所を過ぎた広い場所と決めていたが、あまりにも動きが悪いので、少しばかり空いたスペースがあったので昼食を取ることにした。
実は途中で見た開けた場所がいつもであれば、雪がいっぱいあるのだが、暖かいのですべて解けてどろだらけだったのだ。堂所の先も同じよう感じかもしれないと思ったこともあり、中途半端な場所であるが昼飯にすることにした、と書けば、「ふむふむ、よく考えての行動はよいではないか」と思うだろうが、本当は早くも疲れ果て、かつ、腹減りだったのだ。時間は12:30を過ぎている。

一本道だがあまり広い場所は少ない。
初めて来たときに休憩した場所に似ているな~と思いながら、ザックを下して食事の準備をする。
ぼくが持っていたのはマルタイの棒ラーメン。Sさんはチキン味の小さ目のインスタント麺。
時間と道具出すのが面倒ということで、今回はSさんが持ってきたラーメンを食べることにした。
某ラーメンは翌日の昼に回す。
ザックからマグカップを取出したはよいが、バーナーと食器セットがザックの底にある。取り出すと片づけるのがまた一苦労するので、お湯はSさんに沸かしてもらった。
準備をしていると、上から女性一人が降りてきた。
前日は雲鶏山荘に泊ったとのこと。
「さっき大勢の人が降りていきましたよ」
「あの人たちは石井スポーツ主催の登山なの」
などと頂上付近の状態やこの先の道の状態、ぼくらの予定などを話をする。
ふと気づけば、彼女は14:00過ぎのバスで帰るのですよねと話をして、そそくさと下山をされた。
帰る前に一か月ほどしたら、へっぽこ写真記を探してください、きっと載せています~と伝えた。
日清のチキンラーメン。小さい袋なので、一人1個半にした。
マグカップは過去の富士山見物で寒いながらもお湯割りを飲んで温まるはずが、コップが冷えてしまい、どちらかといえば飲むほど暖かくならなかったというよい経験と、自宅でお湯割りを飲んでいても同じように寒くなったのだ。
今回はサーモス製の真空断熱マグ/JCP-280Cを準備した。Sさんと色違いなのだ。

Sさんも自宅でお湯割りを飲んだら、いつまでも温かいと絶賛していた。
これでチキンラーメンを入れてふたをすること3分。しっかりきっちりウマいラーメンが出来た。朝に買ったパンも合わせて食べた。

今度の山登りからこれを大いに活用しよう。
自宅でお湯割りを飲む人にはおススメの品です。
飯を食べたら気分が少しましになった。量は少し少ないないがあまりたくさん食べて登るとこれまたつらいので、これ位がちょうどよい。
また、えっちらおっちら登って、初めて来たときに休憩した場所に到着した。
年配夫婦がのんびり休憩をしていた横を通り過ぎ、「まだか~堂所~」とうなりながら、登って行った。
ザックの重さはまぁ大丈夫なのだが、どうも脚が思ったように上がらない。
ちんたら歩いてようやく、一つの目標である堂所に着いたのが14:00だ。

今頃気が付いたが、よくよく考えれば、予定していた場所より早く昼食を取ったが、過去4回冬に来ているのだ。その時も同じくらいに堂所に着いている。
さらに予定した時間を見ると、大体合っている。
標準時間だともっと荷物が軽いのだろうが、なにしろSさんもぼくも27キロを背負っているので、極端に遅いというわけではない。
一度くらい軽い荷物で登ってみたいものだとSさんと話ながら前に進んでいった。
この堂所から少しだけ登ると右側に広い場所がある。
ここだとテントを張ることが出来る。この先はまた一本道が続くので、広い場所はない。
ちょっぴりここでテントを張ろうかな~なんて軟弱なことを云いつつも、まだ時間があるので、またまたカメり遅い速度で歩いて行った。
堂所で高度が1,300mほど。ここからちょいと急になるのだ。
堂所から七ツ石山小屋まで約50分。
倍の時間が掛かるとして、まぁ2時間あれば大丈夫だろうと、登っていくのだ。
ところがやはり思った以上に進まない。少し歩いては止まり、また歩くというのを繰り返す。
この先にある標識もしっかり覚えている。最初に出てくるのは、途中行き止まりの標識と右に進む標識があるのだ。
ゆっくり、非常にゆっくり進んでいく。
途中で上から軽快に降りてくる親娘に会った。
Sさんがしっかり覚えていて、朝のバスで一緒だった人だよと教えてくれた。
軽い荷物だと雲取山の往復が出来るのだなぁ~、わしらもいつかは軽い荷物で雲取山荘に泊まろうと話をしつつ、えっちらおっちらと歩を進める。
ようやく一つ目の標識が出てきた。

堂所から30分、妙に長く感じた。

「よし、行くべ~」とよろよろしながらフンっとザックを背負い、ちょいとばかり急な道を元気なく登って行く。
「フンッフンッフンッ」と何に対して怒っているわけでもないが、「フンッ」と云いながら登っていくが、これまた長く続かない。休み休みながら登ることの繰り返しだ。
初めて来たときはSさんが「あぁ~腰が痛い~」とこれまたのんびり登っていたのを思い出した。
その時は秋だったが、後はずっと冬に来ている。
いくら筋トレをしたからと云っても、この重さは効くのである。
幸いなのは雨はなく、風もほとんどない。朝は晴れていたが、今は曇り空。どよ~とした空は二人の気分と同じように感じた。
ごろごろした岩の付近で立ち止まる。そろそろ七ツ石山とブナ坂の分岐が見えるころだ。
Sさんがスマートフォンで現在地を確認すると、さっき止まった場所と分岐の中間地点よりちょい下側だった。
もう少し登れば分岐点が見えるだろうということで、「ビールが待っているぞー」「焼き鳥焼肉もあるぞー」なんてカラ元気を出して、えっちらおっちら歩き出した。
ようやく分岐点が見えて一安心をした。まだまだ明るい時間だ。

ブナ坂方面は傾斜が緩いが、七ツ石山小屋まで10分位だ。しかし、この道が意外とキツイのだ。
こっちの道は過去2回通り、今回3回目だが、やはりキツイ。
これまたゼンマイ仕掛けの人形がゼンマイが切れかけた状態でのろのろ歩く。
確か小屋は道の右側だったので、何度かくねくねした急登をさらにゆっくりと登っていく。
「あぁ~あれが小屋かな~」とSさんに話しかけて、
「違った~」と云うと、疲労感が増した。
時間的に次に見えるのがそうではないかと思ったが、よく考えたら歩くよりも止まることが多いので、大して距離を進んでいないのだった。
時間は16:00を過ぎている。そろそろ少しばかり風が出て、体温が下がっていくのが分かるが、動いていると暖かいという妙な状態であった。
写真だけ見ると、カッコよく見えるかもしれないが、実態はかなりヨロヨロになりながら、一歩ずつ歩いて行ったのだ。

しばらくしてようやく、小屋の姿が見え、「営業中」「冷たいビールあります」ののれんが見えた。
過去2回とも、小屋の前で休憩をしただけで、通り過ぎたのだ。
泊り客または幕営する人しか入ってはいけないと勝手に思い込んでいた。到着時間は16:20。

<爆笑連載中>