Sさんの自宅を出て、どこをどのように走っているか分からないが、会社のセンターを通るとのこと。都営新宿線の菊川駅が見えた。確かみた記憶がある。しばらく走って、単身赴任をしていた時はそこにずっと通っていた、今はSさんが勤務しているセンターが見えた。そこを通り過ぎて首都高速の木場から一路千葉県富津市へ向かう。
Sさんの住まいは江東区、目的地は千葉県の富津市なので、東関東自動車道経由で館山自動車道に乗ると思っていたのだが、それだと随分時間も高速代もかかるとのこと。
首都高速から川崎方面に行ってから東京湾アクアラインで千葉県に行った方が、時間も高速代もかからないとのことだ。初めて通るアクアラインだ。
10キロメートルの長いトンネルを抜けて、後ろを振り返ったら「海ほたるパーキングエリア」が見えた。ちらっとしか見なかったが、船の形をしているそうだ。入るにも出るにも不便らしい。
アクアラインを降りて、内房の国道を走る。
見たことがある景色だなぁ~そういやこの先に確か餃子の王将があったな~
とSさんに話すと
「よく覚えているね~」
10年位前に釣りに行った帰り道にあったのを思い出したのだ。
車内ではSさんの愛犬、チョージローとコタローが落ち着かない様子だ。
長い時間車内に閉じこもっているので、ストレスがたまったか、おしっこをしたいのかどちらかだろう。一旦買い物のために、途中にあった業務スーパーに立ち寄り、Sさんは散歩に連れて行った。
しばらく待っていたら、戻ってきてどうやらトイレではなく、単に外に出たかったようだ。
愛犬には車で待ってもらい、食材と酒を買うことにする。
ビールと翌朝用のパン、キムチなどを買って、次は肉の買い出しだ。
この辺りではおいしいと評判の肉屋さんに寄って、あれこれ頼んだ。鶏皮もあったので、忘れずに買った。
次はおいしい湧水がある場所で水を汲もうとしたのだが、水入れ用のポリタンクを忘れたので、仕方なく目的地のトレーラーハウスへ向かった。
入るにはちょいと狭い道でおまけに急坂、しかもくねっと曲がっていた。
ドックラン、愛犬用の広い場所のことだ。もちろん散歩の時に首に着けるリードは外して、愛犬はその広い場所を駆け巡る、犬にとってはよい場所なのだ。
まずはトレーラーハウスに着いて荷物を降ろす。
初めて目の前で見たトレーラーハウス、デカいのだ。
全長は14~15メートルある。周りは同じようなトレーラーハウスがあるが、長さも形も様々だった。
中に入ってみると、なにやら独特の匂いがした。きっと閉め切っていたので、わんこの匂いがこもっていたのかもしれない。
トレーラーハウスは長さがある分、中も広い。最大9人が寝ることが出来るスペースがあるとのことだ。
キッチンはアメリカ式で、コンロが手前に一つ、奥に二つある。日本のように自動点火ではなく、チャッカマンで火を着けると教えてもらった。
テーブル上の焼酎サーバーがあった。
「これに焼酎を入れておくと、味がまろやかになるのですよ」
「えっ知らなかった。もらったは良いけど、どのように使うか知らなかった」
「沖縄の泡盛と鹿児島の黒酢もこのような入れ物で熟成させるのだ」
「ではでは」
ということで、さっさ水洗いをして焼酎の黒霧島をドボドボドボッと全部入れた。
Sさんの愛犬、チョージローとコタローの運動と水汲みを兼ねて、トレーラーハウスを出て、広場へ向かった。水は10リットルほど汲んでいったん戻る。その間、チョージローとコタローは何がうれしいか分からないか、ときおりおしっこをしてマーキングをした後にまた走り回ることを繰り返していた。
水を置いて、チョージローとコタローの所へ行き、一緒に走ってみたが、こちらは二本足、そして立派な中年おじさん、かたや本日誕生日のチョージローは3歳、若い上に四本足。追い付くはずがない。
ならば追い付くように仕向けてみようとザックに入っていた小さな凧をもって走ったところ、コタローが一緒についてきた。トレッキングシューズで走るにはかなり無理があった。
生憎風はなく、凧は上がらなかった。
左がコタロー、右がチョージロー
いつまでも遊んでいても仕方がないので、ザックからテントや寝袋を取り出して乾かすことにした。幸いに風はほとんどなく、ぽかぽか陽気だ。座って眼を閉じたら寝てしまいそうなくらいだ。
「腹減りましたね~」
「そうね~昼飯食べていないからね」
「ちょっと早いけど、メシの準備にしましょうか」
「そうするか」
ということで、晩飯準備をするのだ。
<爆笑連載中、次は「トレーラーハウス宿泊体験(3)」へ続く>